ウロボロス観測所

主に悟りについて哲学的、社会学的な考察(のバックアップ)

相矛盾する現象は併存できるという視点

(相矛盾する現象は併存できるという視点)

 虚偽を除くのは当然だが、おそらく一部の宗教的教義にみられる矛盾的な言説は、そうした矛盾する構造や現象を脳神経系が認識しているからこそ生まれたのであろう。つまり対応関係にある相矛盾する何らかの現象が実在している。そして悟りや啓示の類の現象もまたそれに対応した現象が存在していると考えられる。が、既に何度か述べてきたように従来は悟りや啓示そのものは実体ではなく、(私の仮説である副鼻腔理想解放状態という概念を除けば)意識や感覚を通して知覚されてきた。目に見える実体は存在しないにも関わらず、それが実体のごとく知覚できる、と言うどちらかと言えば東洋的現象として語られてきたのである。

 そしてこうした現象を言語化して表現しようとすると、悟り、無我、解脱、空即是色、色即是空、梵我一如、三位一体、神の啓示、神との一体化……などの表現になったのであろう。ただそれは論理構造の解体と再統合を同時に引き起こした状態にほからない。そのため言語機能不全を伴い、その理解に大きな困難と混乱をもたらすことになった。

 また悟りや啓示に類する現象がその主張のとおり世界の根源に関わる問題である場合、その性質ゆえに言語機能不全をはじめとする認識や説明の困難さが生じると考えられる。その根拠は認知のウロボロス的限界である。